【開催報告】「フランスに学ぶ!少子化を打破するための労働政策」イベント

開催日:2024年10月9日
場所:参議院議員会館

多くの皆様にご参加いただき、充実した議論の場となりましたことを心より御礼申し上げます。
大変遅くなりましたが、開催のご報告をさせていただきます。

■開催概要

本イベントでは、少子化問題の解決に向けて、特に労働政策の観点から、フランスの事例を参考に具体的な議論を行いました。

■登壇者(敬称略・五十音順)

  • 天野妙 氏(みらい子育て全国ネットワーク代表)
  • 小室淑恵 氏(株式会社ワーク・ライフバランス社長)
  • 柴田悠 氏(京都大学大学院教授)※オンライン参加
  • 高崎順子 氏(フランス在住ライター)
  • たかまつなな 氏(時事YouTuber、笑下村塾代表)

■主な議論のポイント

1.異次元の少子化対策と残業時間規制緩和への懸念

天野妙氏より、2023年に「みらい子育て全国ネットワーク」で行った『「異次元の子育て政策」王座決定戦』について紹介してスタート。応募77政策のうち、ベスト4に入った「全員6時間勤務」について、これが少子化には一番有効なのでは? という話題から、2024年に行われた自民党総裁選時に数名の候補から「残業時間規制の緩和」の政策が出たことに危機感を抱き、緊急声明を発表したことを紹介しました。

2.日本の労働時間の現状と課題

柴田悠教授より、『DX等による「男性労働1日2時間短縮」を!』と題したプレゼンテーション。日本では、フルタイム男性の平日労働時間が9.7時間と主要先進国で最長であり、フランスとの差は約2時間に及びます。この長時間労働が、家族形成や子育ての大きな障壁となっていることが指摘されました。

特に注目すべき点として、今後10年間で男性の労働時間を2時間短縮できれば、出生率が0.35ポイント上昇し、「希望出生率1.6」の実現可能性が高まるというデータが示されました。

3. フランスの取り組みから学ぶ実践的な示唆

高崎順子氏より、日本の”少子化要因”について、フランスの現状と具体的な取り組みについてプレゼンテーションがありました。

特筆すべきは、「子どもが生まれないのは社会の不具合の印」というフランスの考え方です。この価値観が、実効性のある支援策を生み出す原動力となっています。

4. 日本における具体的な改革の方向性

小室淑恵氏からは、日本の現状の課題として、他国と違い、「日本は長時間労働社会に女性を合わせた」という点を指摘。具体的な改善策として「可処分時間改善法」の法案の提言がありました。

5.若い世代の思い

たかまつなな氏は、「私や同世代の多くの女性は、子どもを持つか仕事をとるか、どっちかと迫られている気がする と感じている」と述べました。また、女性の貧困についても触れ、「働く時間をみんなが短くしたら、多くの方が子育てや個人の事情と両立できる社会になるのでは」との考えを共有しました。

6. 政策立案者からの応答

衆議院解散の日であったにも関わらず、イベントには、竹谷とし子議員、寺田静議員、矢田稚子内閣総理大臣補佐官にご参加いただきました。
矢田稚子内閣総理大臣補佐官からは、長時間労働の解消と女性の処遇改善について、具体的な取り組みを進めていく意向が示されました。

7. 今後の課題と展望

最後に、「労働時間を減らすといいことだらけなのに、なぜ進まないのか?」について議論が行われました。「人口の構造と勝てる働き方がセットであるが、それは1960~90年代と今は変わっている。それをみんなで受け止めて、これからどうするかを議論する。」「法律で決める。法律は、目指す社会のメッセージ」などの興味深い話がありました。

また、参加者からの質問もあり、活発な議論が行われました。各登壇者からは、

  • 人間にしかできないことをまず考える
  • 徹底的に仕事を見える化して共有化する

などの課題に対する具体的なアプローチ方法が示され、実現可能な改革の道筋の一端が示されました。

■終わりに

「具体的な解決策が見えた」「フランスの事例が参考になった」など、建設的なご意見をいただきました。

本イベントでの議論を踏まえ、具体的な政策提言の関係各所への働きかけを進めていきます。

※本イベントの詳細な内容については、以下のメディアでも取り上げていただいております。

「子どもが生まれない」は「社会に不具合がある印」。少子化打破のカギは長時間労働の解消、首相補佐官も意見 | ハフポスト NEWS

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA