【開催報告】第1回 勉強会「財務省 子育て予算勉強会」で予算の決まり方などを教えていただきました

2017年11月13日に、『第1回 勉強会「財務省 子育て予算勉強会」』を財務省にて開催しました。
その勉強会での内容について、ご報告します。

※なお、以下の報告内容は11月13日の勉強会時点のものであり、その後の報道で出てきた、保育士の処遇改善などの話題は含まれておりません。

趣旨

10月の総選挙で与党の公約として挙げられていた、幼児教育の無償化。
その無償化について、11月に入り保育事業者の補助金見直しや、保育・幼児教育無償化に認可外を含めないなどの記事が流れていました。

また、「#子育て政策おかしくないですか」のハッシュタグでも、無償化よりも全入化が先ではないか?保育士の処遇改善が先ではないか?との声が多数上がりました。

そこで、子育て関連の予算がいつどのように決まるのか。何がどこまで決まっているのか。
しっかり理解した上で「おかしいものはおかしい」と伝えられるように、財務省の方に勉強会を申し入れたところ、こころよく引き受けていただきました。

参加者

当会メンバー5名を含む9名が参加しました。

学んだこと

予算の決まり方

翌年度の予算は、6月の方針決めからスタートし、政府・与党、野党、各省庁で調整を繰り返して、12月までに予算がほぼ決まるとのことでした。

おおよそのスケジュールは以下のとおりです。

  • 6月:経済財政運営と改革の基本的方針(骨太の方針)が決定
  • 8月末:概算要求書が各省庁から財務省に提出される
  • 9月~:財務省と各省庁が折衝(財務省は予算の無駄を指摘)
  • 12月下旬:政府案を閣議決定(ここでほぼ予算が決まる)
  • その後、国会で審議されて3月末までに成立する(ここで覆ることはまずない)

つまり、その年度の予算に意見を盛り込むには、6月の骨太の方針に盛り込むようにアプローチするか、8月に各省庁が提出する概算要求書に盛り込んでもらうようにアプローチするか、が大事となります。

2兆円パッケージの使い道について

政府の掲げる「2兆円パッケージ」の使い道について、財務省の見解を伺いました。

  • 人生100年時代構想会議で審議中で、無償化の範囲をどうするかは、まだ正式に決まったものは財務省としても把握していない(11月13日時点)
  • 12月上旬に正式な文書として発表される予定である
  • この文書の中に今から意見を盛り込むことは難易度が高い
  • ただし、無償化の制度が決まってしまっても、その後の議論で制度は変えることができるので、声をあげ続けることは必要である
  • また、2兆円パッケージをいつから実行するかは決まっていない。消費税アップを待たずに開始するのであれば、借金で賄う可能性もあるし、増税後になる可能性もある。

東京都の積立金2兆円について

本勉強会の直前に、自民党の小林史明議員から東京都の待機児童対策には、都が抱えている2兆円の積立金から出せるのではないか?という提言があり、これについても質問しました。

  • 財務省としては、地方交付税交付金を受け取っている自治体には強く要請することができるが、東京都は交付金を受け取っていないので、当事者(都民)が声を届けていくことが重要。
  • 積立金は1回取り崩したらなくなるものであるため、たとえば保育所整備費に充てるなどには使えるだろう。一方で、キャッシュフロー(毎年の税収)を考えて毎年かかる運営費をどうするかを考えることも重要。

財務省のスタンス

財務省は、国の借金を後世に引き継がせない、という視点で活動をしており、無駄があればまずは無駄を省くように働きかけるのが役割であるとのことでした。
保育事業者への補助金を減らす報道についても、「公費が適正に使われてますか?保育士の処遇改善に回っていなくはないですか?」というメッセージの1つであり、今後の議論によって当然、棄却されることはありえるとのことでした。

「ここにも予算をつけてください!」という要求ばかりが寄せられますが、「この無駄を削減して!」という提案とセットであれば、財務省としても提案に盛り込みやすい、ということでした。

また、もし12月に全員無償化、という文書が出てきたとすると、おそらく来年の予算折衝の際に財務省は「全員無償化は無駄ではないですか?所得制限を加えてはどうですか?」という提案をするとのことです。

まとめ

財務省の方は、遅い時間からの開催にもかかわらず、2時間超の特別講義でしっかりと教えてくださいました。

私たちは「今の待機児童問題を次の世代に引き継ぎたくない」という想いで活動していますが、実は、巷でよく「血も涙もない」と言われる財務省も「今の国の借金を次の世代に引き継ぎたくない」との熱い想いで仕事をされていました。

財務省の方からは私たちが集めた声を、どのタイミングで、誰に伝えていくか、大きなヒントをいただきました。

お忙しい中、勉強会を開いてくださり、ありがとうございました。