座談会風公開資料 1. 教育費の不安って?

座談会風公開資料 1.教育費の不安って?

2017年12月21日

ME:これ読みました?

教育投資の優先順位を考える(7)保育は定員、小中は質に課題

「一方、日本では有償でも4~5歳児の95%が幼児教育施設に在籍しています。全面無償化で保護者の負担を税金で肩代わりしても、社会全体の教育投資量の増加には直結しません。中高所得世帯が習い事や塾の支出を増やせるようになり、低所得家庭との教育支出格差が広がる可能性もあります。それよりも、保育所や幼稚園で多様な習い事ができるような質の向上に投資した方が、家庭環境による教育格差を解消する効果は大きいでしょう。0~3歳児に関しては、都市部では女性の労働意欲向上により保育所不足が深刻化しています。この「需要超過」状況では、教育費用の低減ではなく、保育所の定員拡充など供給制約の緩和を優先すべきです。」

こちらは直近の人生100年時代構想会議の資料です。昨日の片山さつきさんとの会合でもらった、中間報告(案)もこちら。この参考資料の最初にある、少子化要因を「教育費」と持っていくためのアンケート結果の出し方に恣意性を感じる。選択肢に「受け皿が足りない」が入っていなかったり。
※ソース:第15回出生動向基本調査(夫婦調査) 図表Ⅲ-1-13 妻の年齢別にみた、理想の子ども数を持たない理由:第15回調査(2015 年)(予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦)

 

R:アンケート結果P.3には、たしかに受け皿不足が選択肢として示されてませんね。ただ「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」の子育ての一言にまとめられてしまっています。そしてp.4のアンケートの選択肢の中に幼稚園・保育所などの拡充という項目で登場しますね。このp.4のアンケートが問題ですね
※ソース:内閣府政府統括官(共生社会政策担当) 平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版):33.妊娠・出産に積極的になる要素(Q48)

 

ME:p4でも、子どもの教育の費用のどこ?という細分化がたりないなと。保育・幼児教育では0~2、3~5歳で本当は分けて論じた方が良いし、本当は高等教育や塾の費用とかだったりしない?とか。さらに回答者が、20代~30代で、保育・幼児教育がどのぐらいの費用になるか分かっていないかも?(実は結構な額補助されているんだけど、0~2歳はまだ高いとか)

 

R:ほんとね。複数回答が可能で、「将来の教育費、不安ですか?」と聞かれたら、そりゃみんな「イエス」って答えるよね。

 

ME:ま、こういうアンケートって一杯あるので、持っていきたい方向に都合の良いデータを選んだだけなんでしょうから、一つの分析ってことで。

 

R:一方で、「幼稚園と保育園の拡充、必要ですか?」って聞いたら、足りてる幼稚園の方は「べつに」って思って、保育園の方が「必要」って答えるよね。最初から、半分の票が捨てられているようなもの。ほんと恣意的だよなぁ・・・。

 

ME:「どのようなことがあれば、子供がもっとほしいとおもいますか」じゃなくて、少子化と女性活躍と子どもの養育・教育環境の改善が国の戦略ならば、「どのようなことをすれば、安心して子育てと自己実現ができると思いますか」とかの質問にしてほしい。
・「費用の補助がほしい」は全員が希望(もらえるものはもらいたい心理から)
・「幼稚園・保育園の充実」は、待機児童で困っていない地域や幼稚園に入っているひとは、捨てられる(Rさんの言う通り)
から半分とかになるよねー。

 

K:p3の内閣府「結婚・家族形成に関する意識調査」(2014 年度)の結果をたどると、「幼稚園・保育所などの充実」という項目が入っていて、51.6%が不安と答えていましたよ。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h26/zentai-pdf/pdf/2-2-2-6.pdf

 

ME:Kさん、資料ありがとうございます。費用助成を求める回答と受け皿整備が接近してますね。

 

K:元の資料では都市部と地方部で層別化して集計していますよ

 

ME:層別で見てみると違いが出るかな。

 

K:うん

 

ME:でも費用の補助はみんな「もらえるならほしい」で高くなりそう。

 

K:幼稚園・保育所などの充実を望むのは、都市部で57.4%、地方で49.1%。
夫婦の年収別では800万以上が54.9%に対して、600万未満では44.1%。

 

R:回答者の属性で、保育園を望む層と、幼稚園を望む層で別れないとですね。

 

K:うん、年収別に不安要素を示さないと、政策的におかしくなると思う。

 

R:都市と地方の違い、おもしろい。

 

ME:逆に、めざす会でやったアンケートや署名は、「無償化?なにいっての?保育園足りないんだよ!」という層がより多く集まった可能性もあるかな、と思うんですが。
年収が低い人は、「受け皿」より「費用助成」に傾くのでしょうけれど、実は既に補助入っていますしね。

 

K:とりあえず、年収が高くて、税金を高くおさめてくれそうな人には、保育園の拡充が必要で、無償化は意味がないってことです

 

ME:その話で最初の方に引用した赤林さんの昨日の記事は、そうそう!と
あと働いている人が継続して働き続けるためには、保育園の拡充が必要で、やるなら0~2歳の助成拡充がインセンティブになるんだということで。

 

K:それを示すデータもありますよ。今、出してきます。

内閣府 「ワークライフバランスに関する意識調査」2013

p11 何が実現していれば、自身は仕事を続けていたと考えるか
最も多い回答は「認可保育園・認証保育園等に子どもを預けられれば」が55.9%

 

ME:Kさんありがとうございます。
①年収が高くて、税金を高くおさめてくれそうな人には、保育園の拡充が必要で、無償化意味ない
②働いている人が継続して働き続けるためには、保育園の拡充が必要で、費用助成するなら0~2歳の助成拡充がインセンティブになる(0~2歳の保育料の高さから仕事を諦める人がいる&3~5歳は90%が既に利用しているので)
で頭が整理された。(独り言)

 

AL:子どもを諦める理由の「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」には、大学に行かせた場合の費用が大きいことが入っているはず。幼少期とは、分けてほしいですね。
そして、その時期に収入を確保するためキャリアの継続が必要なのに、保育園に入れず諦めている人がいると思います。

 

N:大きくなるにつれてどんどんかさむであろう教育費に対する不安であって、保育料を払えないから生まない、ではないです。

 

AL:現行の60歳定年のままだと、娘ちゃん在学中に収入減なので、厳しいです😢
希望すれば大学院まで行かせたいのですが…ムリかな〜と

 

S:ALさん超同意。教育費用、としてまとめるなってのー

 

AL:ですね〜、ざっくり過ぎです

 

S:月々3万程度の幼稚園保育園費用と、年に百万近くかかる私立高校や、数百万単位でかかる大学をいっしょにして議論するとめちゃめちゃになりますよね。
そりゃ私も教育費不安ですよ~。大学高いもんね。

 

AL:今は高止まってますけど、限界です。
次は、予算削減から大学が淘汰され、学生を集められない地方大学から次々と廃校に…。
地方の親は仕送りできず、泣く泣く大学を諦める若者たちが…😢(暗いダメ)

 

K:うん。私も大学の学費が1番心配。次は中学と高校かな。大学まで公立の予定だけど、中学受験したいって息子が言い出したら、応援したくなるかも。って思って、最近イデコとかニーサとか始めたよ。

 

A:そうなのよ。働き盛りから退いた私たちが、一番お金のかかる大学の費用を賄えるのか?という不安が大きくて、少子化なんだよ!!!って事に気づいてい欲しいよね。
住宅ローンに昔、ゆとり返済というのがあって、最初の5年は低金利なんだけどその後、めっちゃ返済増える方式があった。
実は金利負担分が増えるのよ。激変緩和。私が不動産会社にいた頃、みんなゆとり返済にしてたけど、私だけが「ゆとり返済しないで行きましょう」って勧めてたよ👍

 

K:あたりだね、その提案!今、そんなに給料伸びてかないから、後で多く支払うなんて怖くてできないよ。

 

ME:団塊の世代までしか対応できないですね。20代で子ども産んで、給料右肩上がりで、生涯勤め上げる、みたいな。
日本人の貯蓄額がどんどん高くなるのも分かる。
そういえば、結婚してすぐ旦那の保険・年金の契約をすべてチェックして、費用対効果が悪いもの、保険料が階段式に上がっていくものは基本的に全部解約か変更したな。

 

N:子育てとお金にまつわるストーリー
いくらでも集められそうだ。

 

後日======

ME:前回も話が出た「教育費が心配というアンケート結果があるけど、教育費のどこが心配なの?」という件で、まだちゃんとエビデンス探していないのですが、たまたま見つけた記事でソニー生命が行ったアンケートが興味深かったので参考まで。

子どもの教育資金に関する調査2018:時事ドットコム
[ソニー生命保険株式会社]ソニー生命調べ

『教育資金に不安を感じる理由 1位「どのくらい必要かわからない」6割弱
未就学児の親にとっては「子育てのための社会環境が整っていない」ことも理由に

続いて、教育資金に不安を感じている人(725名)に、子どもの教育資金に不安を感じる理由を聞いたところ、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」が58.6%で最も多く、次いで、「収入の維持や増加に自信がない」が38.6%、「消費税10%への増税」が30.8%、「社会保険料の負担増」が27.0%、「収入が不安定」が23.2%となりました。いくら必要になるのかわからないことや、収入が今後どのように変化するかわからないこと、税や保険料の負担が増えることが理由となって、教育資金に不安を感じている親が多いようです。また、「教育資金に関して相談する人がいない」(11.3%)や「子育てのための社会環境が整っていない」(10.8%)といった回答もみられました。相談相手がいないことや子育て環境が整備されていないことも、教育資金に対して不安を抱く理由の一つであることがわかりました。

子どもの就学段階別にみると、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」(未就学児69.7%、小学生68.5%、中高生61.4%、大学生等35.2%)では、子どもが未就学児から中高生までの親で高くなりました。高校生以下の子どもがいる親には、必要額がわからないことで教育資金に不安を感じている人が多いようです。また、「子育てのための社会環境が整っていない」(未就学児20.8%、小学生8.8%、中高生7.6%、大学生等6.0%)では、子どもが未就学児の親が突出して高くなりました。国や自治体などにより子育てを支援する取り組みが行われているものの、子どもが未就学児の親にとってはまだ不十分で、教育資金の不安につながっているという人が多い様子がうかがえました。 (図6)』

全体としては、心配と思う理由のメインは「どれぐらいかかるか分からない」「保険料や税などどれぐらい負担が増えるか分からない」「収入が維持できるか分からない」という、漠然とした不安だということです。さらに、子育てのための社会環境が整っていないと思う未就学児の親が多いということですが、この世代は「おカネ」の問題ではないということも暗に伺えます。

幼児教育無償化で数十万補助されたところで、収入や就業継続が確保されなければ不安。「教育費用」が心配なんじゃなくて、全体の入りと出の将来像が見えないのが不安ということなんだろうなと。

あくまでこのアンケートの範囲だけの感想ですが。