2019年春 miraco独自調査 中間集計

 みらい子育て全国ネットワーク(miraco)は、「当事者の声を見える化しよう!」を目的に、インターネットなどを通じて4つの独自調査を実施し、その中間報告(2019年1月~2月集計分)を取りまとめました。
※各調査は現在も実施中

【4つの独自調査とは】

◆保護者の声を集めるために
①SNS分析:twitterにて、ハッシュタグ「#保育園落ちた」「#保育園に入りたい」の付いたツイートを抽出し、ツイート内の出現単語を分析
②保活ストーリー:保活の現状を政治に届けるため、保活の体験談を収集
③保護者ストーリー:安心して子どもを育てられる環境づくりへの提言をするため、お子さんの通う保育園についての保護者としての思い・コメントを収集

◆保育現場の声を集めるために
④保育者アンケート:「子どもたちと未来の保育、そして自身のために、保育の現場から生の声をお聞かせください」をテーマに、発信や提言を行うため、保育現場の現役職員、経験者、資格保有者等へのアンケートを実施

【ポイント】

<SNS分析>

 twitterにて、ハッシュタグ「#保育園落ちた」「#保育園に入りたい」の付いたツイートを抽出し、ツイート内の出現単語を分析

保活ストーリー

 保育ニーズに見合った保育の量の不足解消への要望、自治体ごとの保育環境の格差や、保活で無理を強いられたことへの不満があげられました。

保護者ストーリー

 園に感謝しつつも、保育者の不足・余裕のなさ、新人が多いなどスキルに懸念を感じており、待遇改善などによるスタッフの充実・定着を要望する声が寄せられました。

保育者ストーリー

 92%の回答者がいずれかの場面で、人手・人材不足を感じている。人手不足を感じる理由への質問では「必要なスキルを持った人材がいない」「時間帯・曜日によって人が足りない」の選択肢に多くの回答が集まりました。

 人手不足を解消する方法については、「保育士(有資格者)の処遇の改善」「スキル・経験に応じた処遇上乗せ」「配置基準(子ども一人に対する職員数)をもっと手厚くする」の回答が上位となり、資格やスキルに応じた処遇の改善と、より手厚い職員配置を求めていることが分かりました。併せて事務・雑務の削減の必要性を感じている層が多いことも分かりました。

 保育現場の課題でもある「離職」の理由としては、①業務負担が大きい、①月給や時給単価が低い(以上同数)、③長時間労働、④休みが取りづらい、⑤人間関係での悩み、の順で回答が多くなりました。

 「どのようなことがあれば保育士・保育職の社会的評価を上げられると思いますか」という設問に対しては、「給与・賞与の改善」が最も多く、次いで国会議員など政策担当者、そして保護者を含めた一般社会における「『保育職』の専門性や業務負担への適切な理解促進」が上がりました。

【まとめ】

 Twitterや保活ストーリーに寄せられた声からも、依然として保育の受け皿は足りておらず、引き続き、希望するみんなが保育園を利用できるよう、地域ごとの保育ニーズに見合った「量」の整備を求める声は依然あることがわかりました。

 同時に、保育スタッフの余裕のなさやスキル・経験に対して、保護者としても懸念も抱いており、量と質の確保のため「保育士の給料・人員増」へ予算増額してほしいとの声が寄せられました。

 また、保育現場からの回答では、「ICTの導入」について48%の回答者がICTを導入済みと答えていますが、別途実施した保育士座談会でも、人手不足や長時間労働が、職員間のコミュニケーションや保育内容にも悪影響を与えている可能性がみえてきました。

 離職の大きな原因となっている、長時間労働・業務負荷の高さの解消のためには、資格やスキルに応じた処遇改善とともに多様な働き方を選択しやすい環境を作り、人手不足を解消し業務分担できる体制にすること、ICT化と並行して業務自体の簡素化を進めることを同時に進める必要があるようです。

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 こちらのレポートの内容は、国会や議員会館でのイベントでも議員・メディア等にお伝えしました。

 合同ヒアリングの様子はGarden journalismでもご紹介しております。こちらもあわせてご参照ください。