2.記者会見
記者会見では、代表の天野 妙より、保育の質と量を取り巻く課題の現状について、都心部では少子化でも保育需要が衰えないこと、幼児教育・保育の無償化によってさらに需要が喚起される可能性もあること等を紹介しました。
また、当会メンバーの研究員である穂積勇起から、今後の保育サービスの需要推移と待機児童解消のために解決すべき課題についての研究結果を報告いたしました。
- 定員数ほど利用児童数は増えておらず、待機児童数は依然として減少傾向にはない
- 需要のある地域での定員数が増えない限り、待機児童は解消しない
- 待機児童解消のためには、市区町村レベルでの今後の需要の正確な把握とそれに基づく整備を着実に行うことが不可欠である
市区町村ごとの保育サービスの現状と今後の需要を簡単に調べられるツール「保育サービス需要の現状と将来推計シミュレータ(β版)」により、都心部では2040年まで保育ニーズが衰えないことを示しました。
続いて、当会メンバーの研究員である長岡美恵から、当事者の声の見える化を目的として実施したmiraco独自の4つの調査について、中間集計結果を報告しました。
<SNSで発信される声>
「保育園・落ちる」の嘆きに加え、今年秋の「無償化」や「保育士の給料・人員増」のワードが多く出現。
<保活ストーリー>
保育ニーズに見合った保育の量の不足解消への要望、自治体ごとの保育環境の格差や、保活で無理を強いられたことへの不満が多い。
<保護者ストーリー>
園に感謝しつつも、保育者の余裕のなさ・スキルに懸念を感じており、処遇改善などによるスタッフの充実・定着を要望する声が寄せられている。
<保育者ストーリー>
92%の回答者がいずれかの場面で、人手・人材不足を感じている。人手不足を感じる理由への質問では「必要なスキルを持った人材がいない」「時間帯・曜日によって人が足りない」ともに回答が多かった。資格やスキルに応じた処遇の改善と、より手厚い職員配置を求めていることが分かった。
最後に、引き続き開催する院内集会で「保育の量と質」について「保育事業者」「保育者」「保護者」の3つの立場から解決策を考えていきたいと締めて、記者会見を終えました。