【イベント開催報告】『誰もが取れる育休ノカタチ〜みんなが応援したくなる男の育休って?〜』

こんにちは!みらい子育て全国ネットワーク(miraco)です。

去る10月22日(祝)、毎日ホールにて『誰もが取れる育休ノカタチ〜みんなが応援したくなる男の育休って?〜』を開催しました。

私達がこの企画を考え始めた時は、ちょうど『 男性の育休「義務化」を目指す議員連盟』が立ち上がり、また小泉環境大臣が育休を検討している旨の報道があった頃。「こ、これは、、、流れがキテイル・・世の中が変わろうとしている!!」と感じたメンバーが、この問題に関心のある方と一緒に企画を立ち上げたのでした。

この日は生憎の大雨。そんな中、お子さん連れのファミリーや出産間近のご夫婦、育休を実際に取った男性など約100名が参加!この話題に対する関心の高さが感じられるにぎやかな雰囲気の中、登壇者が登場しました。

開催概要

  • 【日時】
    • 2019年10月22日(火・祝)
    • 9時30分 スタート 
    • 12時00分 終了
  • 【場所】
    • 毎日新聞ホール
  • 【主催】
    • 毎日新聞 × GARDEN ×ミライカイギ×みらい子育て全国ネットワーク(miraco)
  • 【登壇者】
    • ★第一部:パネルディスカッション
      • 堀 潤 氏 (ジャーナリスト)
      • 森まさこ 氏(参議院議員) 
      • 小泉文明 氏 (株式会社mercari 取締役会長)
    • ★第二部
      • 小泉文明 氏 (株式会社mercari 取締役会長)
      • 髙崎順子氏(フランス在住 ジャーナリスト)
      • 長岡平助氏(毎日新聞社 記者)
      • 古井康介氏(株式会社POTETO 代表)

会の冒頭、先日の台風19号で被災された方へのご冥福をお祈りし、黙祷。

その後、miraco代表の天野より、男性育休を取りまく現状を紹介しました。

現在の男性育休取得率は約6%。一方、「育休を取得したい」という意思をもつ男性新入社員は80%というデータもあります。「取りたい人が取れていない」という男性育休の現実をお伝えし、『みんなが応援できる男の育休のカタチを考えましょう!』と、会をスタートさせました。

以降は、miracoのイベントではお馴染み、ジャーナリストの堀潤さんにファシリテーションをバトンタッチ!軽快なトークで、登壇者とのディスカッションを進めていただきました。

森まさこ参議院議員『日本は子育てに関する制度は世界でも充実している。あとは空気。』

まずは、このイベントに企画段階から関わってくださった自民党参議院議員 森まさこさん。前日まで台風19号の被災地支援に奔走され、東京に戻られたのは前日の夜!

冒頭福島の被災状況を会場にシェアしながら、話は本題の『男の育休』へ。

先日訪問されたフィンランドで見てきた”男の育休先進国”の様子をご紹介。フィンランドでは、妊娠から出産、子育てまで切れ目ない支援を行う『ネウボラ』の対象として、男性も当然含まれているそうです。出産前から父親の意識を高める必要性、感じる方も多いのではないでしょうか。

ここで会場からは
「育休取得時の所得補償が100%であれば、もっと取りやすくなるんじゃないか・・?」という質問が。

森さんも「大賛成!寿命が長いと思われている女性の健康寿命は実は短い。女性の育児時間は男性の7倍。その結果、育児してる女性の睡眠はOECDで日本が一番短い。医療費にも現れています」と返し、多くの方がうなずいたのでした。

ここでもう一つ、
「働き方改革も両輪で進めなきゃいけないのでは?」と会場の参加者から鋭い質問が。

森さんは「日本の制度や補助金は世界と比較しても充実している。なぜ使わないのかとお尋ねすると『会社の空気が…』と答えが返ってきます。あと残りは空気なんです。今回のようなイベントも含め、空気を変えていきましょう!」と応えました。

ここで、森さんは即位礼正殿の儀に参列されるためご退席。お忙しい中本当~にありがとうございました!

鈴木英敬三重県知事『リーダーは空気を変えるのが仕事。首長も国会議員もぜひ育休をとって』

そして、残念ながら台風20号接近に伴う公務のためご欠席された三重県の鈴木知事より届いたビデオレターが流されました。

育児休業と育児休暇の違いについての解説なども交えながら、ご自身が二人のお子さんの誕生時にそれぞれ取られた“育休っぽいもの”の経験について話されました。

「大事なのは、妻とよく話し合うことです」と鈴木知事。「自分が育休をとったのは、まずは子どもが好きということ。妻に輝き続けて欲しいということ。そして、やはりリーダーは『空気』を変えるのが仕事だからです」と語ってくださいました。

公務に支障がないよう整えること、危機管理体制を万全にすること。それが、みんなが応援できる育休ノカタチである、と小泉環境大臣にもアドバイスをされたそうです。

そんなトップの取り組みが空気を変えたこともあり、三重県庁男性職員の育児休業率は36.7%、育児休暇取得率はなんと93.3%!!

最後に鈴木知事からは、「首長だって国会議員だって、育休は絶対取ったほうが良い。国会議員は国のために、首長は地域やふるさとのためにがんばる。それは当然だが、時間は柔軟に使っていいのではないかと思う。批判は必ずあるが、大事なことは、育休を取ったあとも育児にきちんと参画すること。きちんとやっていれば、批判は消えていきます。実感値を持って社会変革のために行動する、その過程にするためにも、首長も国家議員も取ったらいい!」との熱いメッセージが。

小泉文明さん『選ばれる会社になるには、社員の家族を大切にしなくちゃ。』

続いて、小泉さんが、メルカリの子育て支援について熱く語ります。

「だって家族という土台が安定して築けていないのに、会社で新たなチャレンジしようと思わないでしょ?」というと、会場からもウンウン、、、とうなずく声。

メルカリは、子育てに関わる出費を会社の負担とすることで採用シーンでの訴求力を高めているそう。「採用エージェントにお金を支払うより、自社の社員に使ったほうが絶対いいですよ」と、経営者からの視点で語ってくださいました。

「選ばれる会社になるには、社員の家族を大切にしなくちゃだめ。社員への投資が大事。投資すれば社員は高いパフォーマンスを出してくれる。」うーん、メルカリ、かっこよすぎます!!

ここで、この会をグラフィックレコーディングしてくださった清水さんのグラレコにみんなで『興味ある!』『もっと詳しく!』のシール貼り。

そして第二部は、
引き続き小泉さんに加え、髙崎順子さん、長岡平助さん、古井康介さんをお迎えして熱い議論!

髙崎順子さん『一番大切なのは、父親の自覚を植え付ける事。』

フランス在住、子育て政策についても積極的に発信してこられた髙崎さん。今回のイベントではフランスの『父親休暇』制度を解説してくださいました。

「『産後2週間(男が)家に居たからって何が出来るの?』と言われるかもしれない。でもここでいちばん大切なのは、『あなたは今日から“別の人生”に変わる。これからは養育義務のある父親になる』という自覚を植え付ける、そのための2週間ということなんです。」

フランスでは政策についての効果検証もきちんと行われ、「父親休暇は、父子の長期的良好な関係の形成を決定づけるもの。家庭内での長期的な家事育児分担にもポジティブな影響を与えている」という結論が出ているそうです。今後はこの父親休暇をもう少し長くしよう、といった議論もされているそう。フランスの父親休暇制度、日本も参考になる点が多そうです。

古井康介さん『100年後の未来に何を残すか、そこを考えて欲しい。』

古井さんからは、9月に森まさこ議員に同行して訪れたフィンランドの“スマートシティ”について詳しい解説がありました。botチャットやプッシュ型行政サービスなどの先進的な取り組みについて「フィンランドは100年後の未来に何を残すかを考えている。一方日本は過去の検証が多い。もっと未来のことを考えてほしい」と訴えました。

男性育休の議論も、100年後の子どもたちをどう育てるか、その環境の中に父親はどうコミットするかという視点で考えていきたいですね。

長岡平助さん『妊活・出産・育児・介護の可能性がない人しか活躍できない社会でいいのか。』

ご自身も2度の育休を取られた長岡記者。話題となった小泉進次郎環境大臣の育休検討についての議論を取り上げました。

「育休を使うのだったら大臣受けたら駄目でしょう」という意見が読者から寄せられたことを紹介し、「“大臣”を“大きな仕事”と置き変えて、考えてみてほしい」と呼びかけました。

「『大きな仕事を引き受けているのに育休なんて…』『責任を果たせるなら育休を取ってもいい』というのは、日本のあちこちで起きていること。じゃあ、内閣には育児や介護の可能性が一切ない人しか入れないんですか?内閣のダイバーシティはどうなるんでしょうか。小泉進次郎議員の育休取得をめぐって出てきた議論は、日本の男性主体の社会の現状を反映していると思います」と、今の日本の「空気」についての言及がありました。

「部署で初めての育休。どう振る舞えばいいの?」

ここで堀さんから、ご夫婦で参加されている方にマイクが向けられました。
聞けば、大企業にお勤めの旦那さんが育休を取得予定とのこと。
「育休を打診したら、『育休をとる目的を明確にしろ』と訳のわからない事を言われ、肩身の狭い思いをしている。大企業はどう変わっていったらいいのか。また、部署初めての取得者としてどう振る舞えばいいのか」という質問が引き出されました。

この問いに応えたのは、髙崎さん。
「現場に迷惑をかけないようにするのはマネジメントの責任でしょう」と、管理職の意識を疑問視。
また、小泉さんは
「それって経営者から見ると転職リスク。優秀な社員がやめるかも、、、と危機感を持ったほうが良い。」と経営者視点のコメント。
「育休明けの社員が、家族との時間を大切にするために超効率的に働く姿を見て、僕は『家族を第一に考えるのは人間の基本。そこをしっかりサポートすれば、絶対にその社員は良い働きかたをする』と認識が変わった。だから、ぜひ頑張ってほしい!」と、この若きパイオニアにエールを送ったのでした。

「育休のカタチ」を、みんなで議論!

さて、ここからは今までの熱い議論を踏まえて「誰もが応援できる育休のカタチ」についてディスカッション!
登壇者も交じり、各テーブルで活発な議論が行われました。

「育休とって何するの?と思っていた。知ってもらうのが大事。」「育休を取ることに企業が不満を持っているのは、家事育児が評価されていないから。家事育児に参加することが昇進の手段になるのも良いのでは」「育休を取った個人がどんどん発信するのが大事」というようなアイディアが出てきました。

大学に通いながらベビーシッターをしている男性からは、
「僕達世代は全く子育てに触れる機会がないから、育休に関する話題なんて起こらない。だから子どもが生まれる直前になって慌ててしまう。『仕事どうする』『キャリアどうする』と同様に『家族どうする』『子どもどうする』という話題をもっと大人の方に取り上げて欲しいと思いました」との意見が。

確かに、これからの仕事人生を考える時期に「子どもを持つこと」「子どもをどう育てるか」を考えることは絶対に必要!!と言わんばかりの、会場からは大きな拍手が贈られたのでした。

みんなで「子育ての概念」をアップデートしよう

議論は大いに盛り上がり、気づけば予定時間をオーバーして終了。参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!

miracoでは、引き続きこのようなイベントを通してみなさんと意見を交わし、「子育ての概念」をアップデートしていきたいと考えています。

今後ともmiracoをよろしくお願いします!!!

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